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螺鈿迷宮 題名:螺鈿迷宮 作者:海堂 尊 発行:角川書店 2006.11.30 初版 価格:\1,600 2006年2月に『チーム・バチスタの栄光』が上梓された。<このミステリーがすごい大賞>受賞発表が、その二ヶ月前の12月であった。受賞時点での著者インタビューによれば、トリックを思いつかないので、ミステリー作家になるのは無理だろうと自分で思っていたとのこと。ただ、一つだけ、手術室内での、現役医師ならではのトリックを思いついたのだと言う。それこそが、人生で初めて小説を書いたきっかけであった。さらにその作品を成功させたのは、白鳥圭輔という探偵役を作り出したことであった。この人の登場で、作品は読み返してみても面白いな、と自分で確信するに至ったのだと言う。 その白鳥圭輔が、彼のどの作品にも登場するらしい。トリックを全然思いつけなかったはずの作家が、キャラクターを作り出してしまった途端に、いくつも新しくアイディアを生み出し始めている。既に受賞インタビューの中でそう答えている作家の、自信に満ちた表情が印象的だ。 現役医師でありながら、2006年『チーム・バチスタ……』に続いて、10月に第二作『ナイチンゲールの沈黙』を、11月に別の出版社からこうして『螺鈿迷宮』を上梓している。このワーカホリックぶりには驚嘆を禁じ得ないが、その背景には、インタビューで既に放たれている予告通知とも言うべき、自信に満ちたあの「いくつか抱えているトリックがあった!」ということなのだろう。 本書は、死者が多く出過ぎるあまりに怪しい桜宮病院に、若き医学生が潜入し、真相を解明してゆく物語である。桜宮病院は同敷地内に、宗教法人としての碧翠院を抱え、治療から埋葬までのすべてを司るという、とても怪しい千葉県の施設である。前作での舞台となった東城大医学部とは、医局スタッフを行き来させる関係ながらも、互いに患者間で住み分けを行い、時には対立もする、という複雑な関係だ。 桜宮病院に潜入して、螺鈿の形をした迷宮内部を、読者へ案内してくれる役である一人称の「僕」は、前作同様、どこか組織の大勢からはぐれてしまった落ちこぼれ医学生である。潜入というと聞こえはいいが、奇妙な看護師とのアンラッキー・トルネードの中で、偶然にも大怪我をして入院し、動けない体となってしまう。ゆえにこの小説の中で、主人公は肉体的にはほとんど自分で動けないまま、物語を展開させることになる。 そうして潜入が停滞しそうにもなる中、何人もの人間が死んでゆく。死んでは、翌朝に焼かれて骨になり、あっという間に埋葬されてしまう。まるでホラー映画の世界を、コメディ・タッチで、すっとぼけた味のある主人公の独白が続いてゆく。しかし、やきもきするくらい旗色が悪く、何も把握できないでいるのが明らかであもある。そのもどかしさにさらに拍車をかけるのが、例の看護師・姫宮なのである。そして白鳥圭輔が追い討ちをかけるように桜宮に乗り込んでくる。物語はどのように落下速度を速めつつ、ツイストしてゆくのであろうか。 この奇妙な看護師・姫宮の存在は、実は『チーム・バチスタの栄光』で、既に白鳥の口から語られている。「氷姫」という愛称(?)は覚えておいでだろうか? しかしいずれにせよ、著者は執筆当時から、この看護師の存在で別の物語を書くことを企んでいたのではないか。その作者のいたずら心に、ひれ伏したくなるような、本書は一つの種明かしストーリーともなっている。 もちろん『チーム・バチスタ……』で活躍したキャラたちは、本書でもチョイ役などを振られつつ、登場する。あの愚痴外来も、しっかりサービス・シーンみたいな形で登場。 かくしてエンターテインメント作家・海堂尊は、従来の医療サスペンス完全破壊という整地作業の上に、ゆるぎない地位を確立しようとしている。一作ではなく、多くの作品によって一大海堂ワールドを作るべく、だ。このめくるめくワールドは、おそらく桜宮病院のように、妖しの迷宮(ラビリンス)として、いずれ文芸上のテーマパークを形成してしまうに違いない。 (2008/05/06)
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インターセックス 題名:インターセックス 作者:帚木蓬生 発行:集英社 2008.8.10 初版 価格:¥1,900 帚木蓬生という人の経歴は面白い。大江健三郎と同じ東大仏文を出た後、生まれ故郷の福岡に戻り、九大医学部を卒業して精神科医になっている。 医学部卒の作家というのは最早珍しくもなんともないが、とりわけ精神科といえば、これまた北杜夫、加賀乙彦など小説の大家で知られる分野でもある。精神科のように人間の心の探求を行うという作業から、小説という表現の世界に至るルート・ファインディングはそう不自然ではないのかもしれない。 本書では、突然変異として扱われることの多い両性具有、いわゆる半陰陽の実情から、問題とされるべき点を浮き彫りにし、現在の医療や差別に対する社会モラルを問いつつ、対象者やその家族、に向けても、人間らしい心の持ち方、あり方を、といった本来ベーシックであるべき問題を、読者に問いかけてくる衝撃のストーリーである。 個々のカウンセリング模様を通して、改めて投げかけられる問題は、それぞれの断章を通して理解に繋がってゆき、知られざる影の部分に光を当てている。医学者としての立場と表現者たる作家としての立場を活用した、作者ならではの良心の一冊と言っていい。 医療ミステリーは、その性格上、広く大衆にとって情報小説といった側面が少なからずあるものだし、その中で理解を求めたがる作家の側の押しつけがましい感触のようなものを微妙に持っていることが多く、その使命感が作家の側に強ければ強いほど、抵抗感も生まれたりするものである。 その意味で、この作家のある種の作品などは、ぼくは、小説としてではなくルポルタージュとして正当に作ってもらった方が、いいような気がしたものだ。娯楽小説とルポとは区別してもらった方が親切であるように感じるし、それ以前にテーマの重さが小説としての興を殺いでしまうことも十分に感じ取れたからだ。 例えば、『アフリカの蹄』などは押し付けがましい小説として作家の善意ばかりが目立ち、読後感が悪く、読んだことを後悔さえした。解決方法はない開発途上国の医療に関してのみを語りたいならば、ルポという方法のほうがまだ身に入ってくると思う。残忍な感染小説を読まされても、感動はどこにもないのだ。 医療の情報小説的弱点を十分に予測した上で、娯楽小説に仕上げるという腕では、最近めきめき頭角を現し始めた海堂尊のような作家が、帚木サスペンスのような旧い実直派作家を脅かしている気がする。 帚木蓬生は、いわば生真面目すぎる作家なのだけれど、それで損をしている点も沢山あると思うのだけれど、本書は彼の医療ミステリとしては、まだいい方ではないのか。『閉鎖病棟』『臓器農場』といった彼の良かった面を久々に思い出した。 主人公のドクターに共鳴できる点、患者たち、脇役たちの個性が、それぞれに活き活きと描かれている点、つかみはよくないが、徐々にスリラーとしての体裁が整えられてゆく点、ショッキングなどんでん返しなどなど。盛り上げられるサスペンスと、呆気ない幕切れは相変わらすこの作家の不器用さを感じさせるほど惜しい。もう一歩娯楽小説の側に踏み出してくれれば、とは思うのだけれど。 (2009/01/18)
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過去のβ版情報 4.84β 2007/11/28 秀丸メールV4.84β8リリース 2007/11/26 秀丸メールV4.84β7リリース4~6のことは知りません。 2007/11/15 秀丸メールV4.84β3リリース 2007/11/09 秀丸メールV4.84β2リリース 2007/11/08 秀丸メールV4.84β1リリース 4.82β IMAP4対応のβ版です。色々問題が予想されるので、IMAP4を必要としている人以外は無理にインストールする必要もないかと。 2007/10/25 秀丸メールV4.82β17リリースもうすぐ正式版らしい。 2007/10/19 秀丸メールV4.82β16リリース 2007/10/18 秀丸メールV4.82β15リリース 2007/10/16 秀丸メールV4.82β14リリース 2007/10/11 秀丸メールV4.82β13リリース 2007/10/10 秀丸メールV4.82β12リリース 2007/10/04 秀丸メールV4.82β11リリース 2007/10/03 秀丸メールV4.82β10リリース 2007/09/27 秀丸メールV4.82β9リリース 2007/09/2x 秀丸メールV4.82β8リリース 2007/09/21 秀丸メールV4.82β7リリース 2007/09/20 秀丸メールV4.82β6リリース 2007/09/20 秀丸メールV4.82β5リリース 2007/09/20 秀丸メールV4.82β4リリース 2007/09/19 秀丸メールV4.82β3リリース 2007/09/19 秀丸メールV4.82β2リリース 2007/09/19 秀丸メールV4.82β1リリース 4.81β 2007/09/13 秀丸メールV4.81β13リリース4.81正式版リリース後はIMAP4対応版のβテスト開始予定だそうです。 2007/09/05 秀丸メールV4.81β12リリース 2007/09/04 秀丸メールV4.81β11リリース 2007/08/27 秀丸メールV4.81β10リリースβ9は見逃しました。 2007/08/22 秀丸メールV4.81β8リリースβ7は見逃しました。 2007/08/02 秀丸メールV4.81β6リリース 2007/07/27 秀丸メールV4.81β5リリース 2007/07/25 秀丸メールV4.81β4リリース 2007/07/24 秀丸メールV4.81β3リリース 2007/07/18 秀丸メールV4.81β2リリース 2007/07/17 秀丸メールV4.81β1リリース暗号関連のβ版です。4.80で不都合のない人は必要ないでしょう。 4.80β 2007/07/12 秀丸メールV4.80β17リリース 2007/07/10 秀丸メールV4.80β16リリース 2007/07/06 秀丸メールV4.80β15リリース 2007/07/05 秀丸メールV4.80β14リリース 2007/07/03 秀丸メールV4.80β13リリース 2007/07/02 秀丸メールV4.80β12リリースカレンダー搭載。 2007/06/26 秀丸メールV4.80β11リリース 2007/06/22 秀丸メールV4.80β10リリース 2007/06/15 秀丸メールV4.80β9リリース 2007/06/12 秀丸メールV4.80β8リリース 2007/06/07 秀丸メールV4.80β7リリースOperaMailからの日本語添付ファイル名が化ける問題に対応したそうです。 2007/06/05 秀丸メールV4.80β6リリース 2007/06/01 秀丸メールV4.80β5リリース 2007/05/30 秀丸メールV4.80β4リリース 2007/05/29 秀丸メールV4.80β3リリース 2007/05/24 秀丸メールV4.80β2リリース僕は様子見です。 2007/05/24 秀丸メールV4.80β1リリースまだ入れないほうがいいと思うな。個人的に。 4.76β 2007/05/16 秀丸メールV4.76β21リリース20はアナウンスなかったと思う。 2007/05/15 秀丸メールV4.76β19リリース 2007/05/14 秀丸メールV4.76β18リリース 2007/05/11 秀丸メールV4.76β17リリース 2007/05/07 秀丸メールV4.76β16リリース15は見逃し。 2007/05/01 秀丸メールV4.76β14リリース13は見逃し。 2007/04/25 秀丸メールV4.76β12リリース 2007/04/24 秀丸メールV4.76β11リリース 2007/04/20 秀丸メールV4.76β10リリース 2007/04/19 秀丸メールV4.76β8,β9リリース 2007/04/18 秀丸メールV4.76β7リリース 2007/04/17 秀丸メールV4.76β6リリース 2007/04/13 秀丸メールV4.76β5リリース 2007/04/12 秀丸メールV4.76β4リリース 2007/04/11 秀丸メールV4.76β3リリース 2007/04/10 秀丸メールV4.76β2リリース 2007/04/10 秀丸メールV4.76β1リリース 4.74β 2007/03/26 秀丸メールV4.74β19リリース18いつ出たの? 2007/03/23 秀丸メールV4.74β17リリース16は見逃してたようです。 2007/03/16 秀丸メールV4.74β15リリース13と14は見逃してたらしいです。 2007/03/08 秀丸メールV4.74β12リリース付属のHmJre.dllがV1.81にバージョンアップしているそうです。が、インストールしてから見てみても1.8.0なんだよなぁ。サイズも変わってないし。 2007/03/02 秀丸メールV4.74β11リリース 2007/02/28 秀丸メールV4.74β10リリースβ9にはそのまま転送すると固まるバグがあるので、気になる人はバージョンアップしましょう。 2007/02/27 秀丸メールV4.74β9リリース 2007/02/22 秀丸メールV4.74β8リリース 2007/02/16 秀丸メールV4.74β7リリース 2007/02/13 秀丸メールV4.74β6リリース実はβ5も出てましたがバグありらしいので欠番。 2007/02/07 秀丸メールV4.74β4リリース 2007/02/06 秀丸メールV4.74β3リリース 2007/01/22 秀丸メールV4.74β2リリース 4.72β 2007/01/22 秀丸メールV4.72β2リリース4.71は「返信メール」に落ちバグありらしいです。 2007/01/15 秀丸メールV4.72β1リリース 4.70β 2007/01/08 秀丸メールV4.70β14リリース 2007/01/06 秀丸メールV4.70β13リリース 2006/12/29 秀丸メールV4.70β12リリース 2006/12/28 秀丸メールV4.70β11リリースβ9,10ユーザはアップグレード推奨とのこと。 2006/12/27 秀丸メールV4.70β10リリースβ9ユーザはアップグレード推奨とのこと。 2006/12/18 秀丸メールV4.70β9リリース 2006/12/12 秀丸メールV4.70β8リリース 2006/12/11 秀丸メールV4.70β7リリース 2006/12/04 秀丸メールV4.70β6リリース 2006/11/29 秀丸メールV4.70β3リリース 2006/11/17 秀丸メールV4.70β2リリース 4.68β 2006/10/31 秀丸メールV4.68β13リリース 2006/10/26 秀丸メールV4.68β12リリース 2006/10/16 秀丸メールV4.68β11リリース
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ジェネラル・ルージュの凱旋 題名:ジェネラル・ルージュの凱旋 作者:海堂 尊 発行:宝島社 2007.04.23 初版 価格:\1,600 わざわざ買わなくても図書館で予約して読めばいいかな、っていう作家がいる。作家さんには失礼かもしれないが、読んでそこそこ面白い、しかし作品や登場人物に惚れこんでしまい、是非、哀願したいので手元において置こうとまでは思わない程度の娯楽小説、というようなものであれば、図書館の予約待ちの列に並んでおこうとぼくは考える。 絶対に待てないので買うぞ、という本は、やはり海外ミステリのシリーズものであったり、ぞっこんこれこそ惚れこんだ作家のものであったり、何かの賞を受賞したばかりで、今こそが旬、とでも言ったような作品であろうか。それから文庫書下ろしの新作などで値段が手頃、しかも嵩張らないので書庫を圧迫しない、といった手軽なものも買います。 そんな割合狭いフィルターを潜り抜けてまで買ってゆこうとは思わないが、文庫落ちすればお金を払いましょう、という作家の一人がこの海堂尊である。面白いのだけれど、やはりユーモア・ミステリの類いは、軽い部類に属するし、軽いものはさっと読んでそのひと時を楽しむ、ということでいいのだと思う。 本書は、東城大医学部のシリーズの直系であるようで、主人公も脇役もほぼ『チーム・バチスタの栄光』と直列つなぎになっている様子。この9月に『ナイチンゲールの沈黙』が文庫化されているので、そちらの方が後回しになるなど、ぼくの中でこのシリーズ、前後整えて読めているわけではないので、それが作品の味わい方としては正当ではないなと思いつつも、でも、一作一作が独立した形でもあるし、キャラはほぼわかっているし、と、さほど差し障りを感じることなく読めてしまう。 本書は東城大の心臓部とも言うべき救急部に焦点を当てており、救急医学の花形と言えるドクター・ヘリへの願望を持つ救急部部長、ドクター速水の造形がとにかく楽しい。学内の派閥争いは、現実にいくつも存在する世の医学部という組織を笑い飛ばすかのように、デフォルメされ強調された幹部連中の戯画模様といった有り様。それ自体が本書のストーリーの根幹を成してはいるのだが、それ以上に救急医療に携わるスタッフたちの悪戦苦闘の様子が、プロットの中でしっかりとフォーカスされているあたりが本書の読みどころか。 特に災害が勃発したところ、通常なら受け入れるベッドさえない医学部病院を、救急災害時の基幹病院のような機能を一瞬で持たせ、ロビーに患者たちを受け入れてゆく速水の決断は胸のすくシーンであり、実際に救急医の志の高さに沢山個人的に触れた経緯のあるぼくにとっては、そう、これぞ、救急医療、これぞ災害医療、といった光景が展開する、といったいささか個人的に旗振りをしてしまいたくなる大団円なのであった。 医療は科学に基づくものだが、医療という機関を動かすのは、医療に携わる人間たちの哲学の問題である、というようなことをこの作者はシリーズを通してどの作品でも声高にアジテートしているような気がする。いささか挑発的になりかねない現場サイドにくみした医療に関わる目線をもって、大学病院という象牙の塔を照射してみせるところにこのシリーズの人気の秘訣があるのだと思う。 図書館と文庫落ちした順番だけれど、どんどん読み続けてゆくつもりである。追いつかないくらいの勢いで作者は現在も作品を世に出し続けているけれど。 (2008/09/07)
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限定版特典 特別映像DVD ねんどろいどぷち マテリアルズセット一式 ヴァイスシュヴァルツ トライアルデッキ エアークッション シャワーカーテン 限定コスチュームが入手可能なIDつきヴァイスシュヴァルツカード2種類
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極北クレイマー 題名:極北クレイマー 作者:海堂 尊 発行:新潮社 2009.04.30 初版 価格:\1,600 破産した北の架空の自治体・極北市を舞台とする。いや、舞台というより、この破産した土地の医療現場である極北市立病院そのものが、この小説の主人公であるのかもしれない。 誰がどう読んでも、夕張という実在の破産自治体がモデルであることは自明である。私立病院があり、破綻した医療システム、駅に隣接した豪奢なリゾート・ホテル、その裏の破綻したスキー場、破綻した遊園地。そのどれもが夕張以外の何者をも想起させない。 ぼくは、昔、医療関連の仕事をしていた頃、ここの市立病院に何度か入ったことがある。そこは、まぎれもなく老朽化した暗い建物だった。純白のリゾート・ホテルからいくらも歩かない場所に、病院は、古びて傾いていた。 病院前から延びる一本の通りは、昔栄えていたことをうかがわせる何かがある。今は人っ子一人歩いていないが、きっとかつては鉱山の仕事を終えた労働者たちが繰り出したであろう繁華街の幻だけが広がる。 一方では、夕張映画祭で、映画の街のイメージを作った夕張である。ふるさと創成金の一億円の有効な使い方として、当時は評価された。今でも古き映画の看板が、締められたシャッターの並ぶ商店街に並んでおり、それらが見る者とてない人っ子一人いない通りに延びている情景こそが、異様に映ったものだ。 さらに先には大夕張という、かつて栄えたが、これからダムの底に沈んでゆこうとしている町がある。そこを車で走った折に、前をバスが走っていた。バスの向うに廃校となった小学校が見えてくる。道路を渡る歩道橋(こんなものにも最早何の意味もないのか、とぼくは胸が痛くなった)に、「想い出をありがとう」の横断幕が掲げられている。ぼくはまさしく震えた。 あの頃、何度も湖に沈む前に取り壊される大夕張の町を撮ろうとカメラを構え、廃屋を撮影して回ったのだった。 それは、もう10年以上も前のことだ。 そう言えばこんなこともあった。ある休日に、夫婦で、幼い息子をつれて、石炭の歴史村の野外ステージで何とかレンジャーというTVヒーローの出し物を、裏山から眺めたのだ。入場料がもったいなかったので。実際にキャラクターショーの観客よりも、キャラクターたちのほうが多い情景だった。裏山から覗き込む家族連れは、ぼくたち以外にも何組も見られた。拓銀が破綻した年のことであった。 その後北海道の金融はバブル破綻の代名詞みたいになり、石炭の歴史村も、夕張市も破綻していった。信じ難いスピードで。 この小説では、そんな町の、破綻してゆく市立病院を舞台に「ジーン・ワルツ」では噂だけの登場となった三枝医師の姿を見ることができる。さらに、移転した極北大医学部の救急部に、あの『ジェネラル・ルージュの凱旋』の速水医師の颯爽たる姿が見られる。さらにテレビ画面の向こうではチーム・バチスタの手術シーンが行われているようだ。ああ、海堂尊の世界は時間軸に沿ってではなく、ときには遡る。そして、こうして土地や人間は。複雑に絡み合っているのだ。 本書でも何人かの印象的な女性たちの姿が残る。姫宮、西園寺さやか、そしてとっても印象的なのが並木看護師である。 いつもながらいい世界だ。そして幻のように瞼の裏に甦る夕張が、ぼくの心にはずっと在り続けるだろう。 (2009/10/12)
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ロングドレス 著者 加藤 福代・加藤 寿子 日本ヴォーグ社 発行 発行日 1998年4月5日 ISBN4-529-03085-7 ロングドレス基本Ⅰ 1赤い小花柄木綿で作るディドレス 「若草物語」 2青緑の無地木綿のイブニングドレス クリノリンスタイル 3オレンド色の無地木綿のイブニングドレス ローブ・ア・ラ・フランセーズ 4青系の花柄木綿で作るサッシュドレス 「風と共に去りぬ」 5黒・金の縞柄のシルクのイブニングドレス ロングドレス基本Ⅱ 6黄緑の異素材を組み合わせたイブニングドレス バルックスタイル 7オレンジ色の無地木綿のイブニングドレス2 ドレープオーバースカート 8オレンジ色の無地木綿のイブニングドレス3 スカートのボリュームアップ 9オレンジ色の無地木綿のイブニングドレス4 長袖パフ袖とオーバースカート重ね 10白い綿ジャガード、クリノリンのイブニングドレス 「皇后エリザベートの肖像」 ロングドレス応用Ⅰ 11ピンクのシャンタンでクリノリンのドレープドレス 「ウージェニー皇后と宮廷の貴婦人達」 12グレーのシルクで作るクリノリンの乗馬服スタイル 「ルードヴィヒ」 13紫色木綿のバッスルスタイルのお出かけ着 14クリーム色系花柄木綿のアワーグラスシルエット 15白いレース飾りのブラウスとバッスルのスカート アールヌーヴォー 16青い別珍で作る、レースのひだ衿を立てたドレス 16世紀ルネッサンス 17ピンク系ジャガードのバロツク風ドレス 18エンパイアスタイルのローンのドレス ロングドレス応用Ⅱ 19縞柄のローブ・ア・ラ・フランセーズ ポンパドール夫人 20ローズ系織り柄のローブ・ア・ラ・フランセーズ マリーアントワネット 21灰青色と灰茶色のイブニングドレスとクローク バロックスタイル 22象牙色のウエディングドレスとジャケット ミリタリー調 23赤いローブとハイウエストの黒いドレス 舞台衣装風 24青いテーラードジャケットとプリーツ飾りのスカート 作品の作り方 縫い方の要点 型紙の補正 髪型の作り方・つけ毛使用作品例一覧 読者情報 かつら美人しましょ 出版情報 商品情報 切って使える共通実物大巻末型紙 コーディネートの基本アイテム
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キャラ別パラメータセリカ シュリ レフィン リリエム ヴァレフォル ショップ追加データ アイテムリストALL 1~5 ALL 6~11 コメント・情報提供 キャラ別パラメータ セリカ 無装備・無憑依・女神付与なし(女神化ゲージ600) 女神化が進行すると物攻・魔攻・攻回が上がり、物防・魔防・肉速・精速・防回が下がる。 初期(Lv16) 育成後(Lv53) HP 510 物攻 47 魔攻 39 HP 879 物攻 116 魔攻 82 MP 46 物防 32 魔防 37 MP 125 物防 78 魔防 77 TP 50 肉速 5 精速 3 TP 152 肉速 11 精速 7 FS 50/100 攻回 6 防回 4 FS 59/100 攻回 15 防回 11 シュリ 無装備・無憑依 初期(Lv20) 育成後(Lv53) HP 452 物攻 36 魔攻 64 HP 709 物攻 86 魔攻 117 MP 90 物防 28 魔防 58 MP 181 物防 60 魔防 100 TP 32 肉速 2 精速 3 TP 78 肉速 5 精速 7 FS 43/80 攻回 6 防回 4 FS 49/80 攻回 10 防回 8 レフィン 無装備・無憑依 初期(Lv18) 育成後(Lv53) HP 749 物攻 71 魔攻 32 HP 1174 物攻 150 魔攻 67 MP 32 物防 41 魔防 30 MP 85 物防 94 魔防 59 TP 43 肉速 3 精速 2 TP 121 肉速 7 精速 5 FS 43/80 攻回 5 防回 5 FS 49/80 攻回 11 防回 13 リリエム 無装備 初期(Lv20) 育成後(Lv53) HP 528 物攻 41 魔攻 57 HP 814 物攻 89 魔攻 105 MP 76 物防 35 魔防 62 MP 161 物防 68 魔防 105 TP 46 肉速 4 精速 4 TP 111 肉速 8 精速 7 FS 58/110 攻回 7 防回 4 FS 64/110 攻回 15 防回 9 ヴァレフォル 無装備 初期(Lv20) 育成後(Lv53) HP 446 物攻 38 魔攻 48 HP 695 物攻 81 魔攻 90 MP 49 物防 32 魔防 30 MP 123 物防 65 魔防 57 TP 42 肉速 7 精速 2 TP 96 肉速 13 精速 4 FS 48/90 攻回 8 防回 3 FS 54/90 攻回 18 防回 7 ショップ追加データ 購入総額(店別)によって商品が増える。 自由市場 イーリュン教会 麝香商会 購入総額 追加商品 購入総額 追加商品 購入総額 追加商品 20000~ 硬盗剣ハルト 3000~ 勇壮の水・中 10000~ 轟炎の呪札 魔導銃ヴィルダー 5000~ 治癒の水・中 氷乙女の呪札 イウリスソード 治癒の羽・小 放電の呪札 くろねこぐろーぶ 10000~ 治癒の羽・中 歪みの呪札 30000~ 鉄の盾 女神の滴・中 歴戦の指輪 60000~ 速盗剣カイト 50000~ 血廉の癒手 砦の指輪 魔導銃ジェニミー 塔の首輪 ねっけつぐろーぶ 魔術師のローブ パールリザ 突撃盾 80000~ 蛇剣ヘルメス 100000~ 黒鋼の胸鎧 紅鋼の全身鎧 アイテムリスト ALL 1~5 飛翔の耳飾り 解毒の薬草 雷の呪札 金の錘 金色の水 魔神を封じた剣 沈黙の喉薬 放電の呪札 赤い宝石 鮮やかな粘液 治癒の水・小 破術の呪札 地脈の呪札 緑の宝石 獣の牙 治癒の水・中 鋭気の水・小 歪みの呪札 琥珀の宝石 悪魔の爪 治癒の羽・小 鋭気の息吹・小 飛躍の白星石 ブロンズコイン 水色の木の実 治癒の羽・中 断裂の軟膏 神化抑制薬・小 砂金 緑色の木の実 血廉の滴 魔道の鱗粉 神化促進薬・小 鈍い輝きのリング 黄色の木の実 血廉の癒手 小盾の秘文 青色の強化結晶 瞳の装飾のリング 古神樹の実 勇壮の水・小 加速の妙薬 緑色の強化結晶 緑草 大地の魔力草 勇壮の水・中 意思の妙薬 赤色の強化結晶 香葉 氷結の魔力草 魔力石・小 威圧の妙薬 魔導銃弾 太陽花 轟炎の魔力草 闘技石・小 再生の妙薬 火炎魔導銃弾 神木の葉 落雷の魔力草 女神の滴・小 炎の呪札 冷却魔導銃弾 虹色草 睡魔の喚石 女神の滴・中 轟炎の呪札 電撃魔導銃弾 澄み切った水 盗獅子の喚石 麻痺治療の香 冷気の呪札 地脈魔導銃弾 魔力水 風精の援石 精神安定の葉 氷乙女の呪札 銀の錘 銀色の水 獣使いの援石 ALL 6~11 猫獣人の援石 魔導銃ウロベール ★カトラス 凶族の大剣 ★ブレストプレート トロールリング 弓猫獣人の援石 魔導銃エリーフ イウリスソード 蛇剣ヘルメス 黒鋼の胸鎧 ★トロールリング 邪鬼の援石 ★魔導銃エリーフ イウルーン 麻の衣服 ルーンアーマー 歴戦の指輪 火精の援石 魔導銃ヴィルダー ★イウルーン ★麻の衣服 ★ルーンアーマー ガーストリング 下級悪魔の援石 魔導銃タロウス バイラルソード 革の胸鎧 パールリザ ★ガーストリング 蜥蜴魔獣の援石 魔導銃ジェニミー 氷剣キュリピナ ★革の胸鎧 ネークリス 砦の指輪 骸骨の援石 魔導銃カーフ 血染めの闇剣 剣士の革着 プレートメイル コールラン 食虫植物の憑石 ショートソード ★血染めの闇剣 睡魔の水着 騎士団の白全身鎧 塔の首輪 赤盗剣ルージュ ★ショートソード ねこぐろーぶ 魔術師のローブ プレニシアメイル マルウェンの指輪 ★赤盗剣ルージュ ロングソード ???????? ★魔術師のローブ 紅鋼の全身鎧 硬盗剣ハルト ★ロングソード ふかふかぐろーぶ 盗獅子の衣 木の盾 鋭盗剣ラミナ 盗賊の毒剣 くろねこぐろーぶ 耐熱の革鎧 ★木の盾 ★鋭盗剣ラミナ ★盗賊の毒剣 みけねこぐろーぶ ★耐熱の革鎧 革の盾 地盗剣ジャイロ グロムシャスク ★みけねこぐろーぶ クイラス 鉄の盾 速盗剣カイト バデレール ねっけつぐろーぶ ラメラーアーマー 騎士団の白盾 魔導銃ウロベス カトラス 騎士団の大剣 ブレストプレート 突撃盾 ねこぐろーぶの下は不明 情報求ム コメント・情報提供 ねこぐろーぶの下は★ねこぐろーぶ -- 名無しさん (2014-04-30 22 41 04) 名前 コメント
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ブルーバックス物語 ブルーバックス創刊50周年 2013 1963 『人工頭脳時代』 菊池誠 第1号 1965 計画の科学 加藤昭吉 歴代第8位 1966 相対性理論の世界 コールマン 歴代第3位 1967 量子力学の世界 片山泰久 歴代第6位 1968 統計でウソをつく法 ダレル・ハフ 歴代第9位 パズル物理入門 都筑卓司 著者デビュー 1969 電気に強くなる 橋本尚 歴代第10位 四次元の世界 都筑卓司 歴代第4位 1970 量子化学入門 大木幸介 不確定性原理 都筑卓司 マクスウェルの悪魔 都筑卓司 歴代第7位 1971 ゼロから無限へ レイド 長命。数論の世界へ タイムマシンの話 都筑卓司 1974 相対論的宇宙論 佐藤文隆 松田卓也 松本零士イラスト 1975 ブラック・ホール テイラー 歴代第2位 飛行機はなぜ飛ぶか 近藤次郎 1977 マイ・コンピュータ入門 安田寿明 1979 エントロピーとは何か 堀淳一 名著 1981 野球の科学 松井秀治 クォーク 第2版 南部陽一郎 2008年ノーベル物理学賞受賞 1982 遺伝子についての50の基礎知識 川上正也 1984 DNA学のすすめ 柳田充弘 1985 脳の手帖 久保田競 人は放射線になぜ弱いか 第3版 近藤宗平 講談社科学出版賞受賞 1986 MS-DOSとは何か 脇英世 1990 数学・まだこんなことがわからない 吉永良正 講談社科学出版賞受賞 コンピュータ物理の世界 神原武志 1993 『森が消えれば海も死ぬ』 第2版 2010 松永勝彦 県立 市立519マ 大学 1994 マンガ微積分入門 岡部恒治ほか フィールドガイド・アフリカ野生動物 小倉寛太郎 沈まぬ太陽のモデル 1995 フェルマーの大定理が解けた! 足立恒雄 1997 パソコンで見る複雑系・カオス・量子 日本初のCD-ROM付き新書 消えた反物質 小林誠 2008年ノーベル物理学賞受賞 1998 宇宙のからくり 山田克哉 講談社科学出版賞受賞 『子どもにウケる科学手品77』 後藤道夫 歴代1位 県立 8F407コ 市立 1999 男が知りたい女のからだ 河野美香 「分かりやすい表現」の技術 藤沢晃治 2001 記憶力を強くする 池谷裕二 21世紀累計1位 化学意表を突かれる身近な疑問 2002 「分かりやすい説明」の技術 藤沢晃治 21世紀累計2位 高校数学でわかるマクスウェル方程式 竹内淳 『ミトコンドリア・ミステリー』 林純一 講談社科学出版賞受賞 ニュートリノ天体物理学入門 小柴昌俊 2002年ノーベル物理学賞受賞 2004 大人のための算数練習帳 佐藤恒雄 21世紀累計5位 超ひも理論とはなにか 竹内薫 竹内氏の代表作 2005 『プリオン説はほんとうか?』 福岡伸一 講談社科学出版賞受賞 計算力を強くする 鍵本聡 21世紀累計4位 2006 新しい高校生物の教科書 栃内新ほか 新しい高校化学の教科書 左巻鍵男 新しい高校物理の教科書 山本明利ほか 新しい高校地学の教科書 杵島正洋 2007 『進化しすぎた脳』 池谷裕二 21世紀累計3位 『死因不明社会』 海堂尊 科学ジャーナリスト賞受賞 見てわかるDNAのしくみ 工藤光子ほか 2008 発展コラム式 中学理科の教科書 第1分野 第2分野 2010 アメリカ版 大学生物学の教科書 3巻 『ガロアの群論』 中村亨 旅客機運航のメカニズム 三澤慶洋 交通図書賞奨励賞 『新体系・高校数学の教科書』 芳沢光雄 上下 県立 市立410ヨ 「はやぶさ」の超技術 川口淳一郎 2011 宇宙は本当にひとつなのか 村山斉 物理数学の直観的方法 長沼伸一郎 『iPS細胞とはなにか』 朝日新聞社 県立 市立 大学 ゼロからわかるブラックホール 大須賀鍵 講談社科学出版賞受賞 2012 中学数学の教科書 芳沢光雄 上下 二重らせん ワトソン 新書化 2013 宇宙になぜ我々が存在するのか 村山斉 『大栗先生の超弦理論入門』 県立 市立429オ 『単純な脳、複雑な「私」』 池谷裕二 創刊50年のランキング ベスト20 1 子どもにウケる科学手品77 2 ブラックホール テイラー 3 相対性理論の世界 コールマン 4 四次元の世界 都筑卓司 5 パズル・物理学入門 都筑卓司 6 量子力学の世界 片山泰久 7 マックスウェルの悪魔 都筑卓司 8 計画の科学 加藤 9 統計でウソをつく法 ダレル・ハフ 10 電気に強くなる 橋本尚 11 タイムマシンの話 都筑卓司 12 相対論はいかにしてつくられたか バーネット 13 相対論的宇宙論 佐藤文隆ほか 14 新パズル物理入門 都筑卓司 15 不確定性原理 都筑卓司 16 確率の世界 ダレル・ハフ 17 記憶力を強くする 池谷裕二 18 推計学のすすめ 佐藤信 19 こんなことがまだわからない 相島敏夫ほか 20 マイ・コンピュータ入門 安田 21世紀のランキング ベスト10 1 記憶力を強くする 池谷裕二 2 「分かりやすい説明」の技術 3 進化しすぎた脳 池谷裕二 4 計算力を強くする 鍵本 5 大人のための算数練習帳 6 マニュアル不要のパソコン術 朝日新聞 7 化学・意表を突かれる身近な疑問 8 「分かりやすい文章」の技術 9 宇宙は本当にひとつなのか 10 算数パズル「出しっこ問題」傑作選 仲田紀夫
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韓国での推理小説刊行状況 1 2009年11月9日 ☆「アジア本格リーグ」の刊行 今年(2009年)9月、講談社から「島田荘司選 アジア本格リーグ」の刊行が開始された。これは、今まで欧米作品の陰に隠れてあまり顧みられていなかった、アジア各地域の推理小説を刊行するという画期的なもので、第1回配本では「台湾」「タイ」の作品が刊行された。巻末予告を見ると、さらに「韓国」「中国」「インド」「インドネシア」の作品の刊行が予定されているという。 さて、ではこれらの地域では、刊行予定のもの以外に、いったいどのような推理小説が刊行されているのだろうか。 台湾の推理小説については、taipeimonochromeさんが「taipeimonochrome ミステリっぽい本とプログレっぽい音樂」で以前から積極的に紹介なさっており、多くの未訳作品の批評を読むことができる。 中国の推理小説については、「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の管理人さんが、中国のミステリ雑誌『歳月・推理』に掲載されている短編のレビューなどをいくつか書いている。 では、韓国はどうだろう、ということで探してみたら、あまり情報が見つからない。それなら自分で探ってみようということで、にわかに注目を集めつつある(?)韓国の推理小説界についてちょっと調べて書いてみることにした。 ☆韓国の推理小説 概観 日本には日本推理作家協会や本格ミステリ作家クラブがあり、台湾には台湾推理作家協会がある。では韓国にもそういった組織があるのかというと、やはり「韓国推理作家協会」(한국추리작가협회)という組織があるようである。韓国推理作家協会は、現在韓国で唯一のミステリ雑誌『季刊ミステリ』(계간 미스터리)を刊行している。今までに綾辻行人「館シリーズ」特集(2005年秋号)や「日本推理小説」特集(2008年夏号)などを組んでいるこの雑誌は、国内外の推理小説を掲載するほか、新刊情報や海外のミステリ関連ニュースなどを提供している。また、「季刊ミステリ新人賞」(계간 미스터리 신인상)という短編・中編ミステリ及び評論の賞を実施しており、新人の発掘の役割も果たしている。この雑誌の刊行のほか、毎年夏の「夏季推理小説学校」(여름추리소설학교)、同じく毎年夏の創作短編集「今年の推理小説」(올해의 추리소설)の刊行、韓国推理文学賞の実施も、韓国推理作家協会によるものである。 さて、「本格ミステリ」好きとしては、韓国ではどのような推理小説が人気なのかということが気になってくる。結論からいえば、特に「本格」がもてはやされている訳ではないようである。 邦訳されている『コリアン・ミステリ 韓国推理小説傑作選』(『'98 今年の推理小説 - 失踪』の翻訳なので、やや古いが)や、『ハヤカワミステリマガジン』に掲載された短編を読む限り、本格と呼べるようなものはない。読者側は、こいつが怪しい、という2時間ドラマ的な予想が出来るだけで、論理的に犯人を指摘できるような作品はなかった。密室やらダイイングメッセージやらといったキーワードも出てこないし、さらにいえば、「謎とその解決」という構成を持っている小説自体少なかった。 ということで、今までに邦訳されている韓国ミステリについては、残念ではあるが期待はずれだったと言わざるを得ない。とはいえ、2009年版の韓国推理作家協会「今年の推理小説」に寄せられた会長イ・スグァン(李秀光)のコメントによれば、最近の若手は海外(日本を含む)の推理小説の洗礼を受け、さらには漫画や映画の影響を受け、まったく異なる推理小説を書くようになっているという。『季刊ミステリ』でも、1980年生まれ前後の若い作家たちが続々とデビューしている。 今後、新たな作家が紡いでいく新たな作品に期待したい。 ☆韓国での推理小説の刊行状況 『季刊ミステリ』2008年冬号は、「2008年韓国推理小説出版状況」と題して、2007年12月~2008年11月のミステリ刊行データを分析している。それを見て分かるのは、 「本格」が韓国の推理小説の主流というわけではない(前述) 日本の推理小説の翻訳が多いだろうと思いきや、実際は英語からの翻訳の方が多い ということである。韓国で横溝正史が大人気だという記事(エキサイトニュース 2008年10月17日記事(日本語))を見て、韓国では日本の推理小説が翻訳作品の中心になっていると想像していたが、そうでもないようだ。 ところで、日本では1年にどれぐらいの数の推理小説が刊行されているのだろうか? 手元にあった「2003本格ミステリ・ベスト10」(原書房)の巻末リスト(山前譲氏作成)を見ると、この年、推理小説は国内作家の作品だけで約370冊が刊行されている。 一方韓国では、国内作品と翻訳とを合わせて、1年間で267冊が刊行されている。では、そのうち韓国国内作家の本の数は? 正解は……「27冊」。少ない! 「‘殺害された’ 韓国推理小説‘ 真犯人’は誰か」(ハンギョレ新聞 2008年12月26日記事(日本語)、記事執筆:『季刊ミステリ』編集長 バク・クァンギュ)などで見て知っていたが、やはり国内作家はあまり活動が活発ではないようである。 2008年に韓国で出版された推理小説267冊の内訳 (『季刊ミステリ』2008年冬号より) 英語からの翻訳 103冊 日本語から 96冊 その他言語から 41冊 国内作家作品 27冊 長くなってしまったので、次回に続く。 ◆追記 「冊」というか、「タイトル」といった方がいいのかな。または「作品」か。 韓国での推理小説刊行状況 2 2009年11月10日 ☆韓国での推理小説の刊行状況(つづき) 2008年に韓国で出版された推理小説267冊の内訳は以下の通りだという。(『季刊ミステリ』2008年冬号より) 英語からの翻訳 103冊 日本語から 96冊 その他言語から 41冊 国内作家作品 27冊 日本では1年間で、国内作家の作品だけで約370冊(2002年)が刊行されており、それと比べれば、韓国での推理小説の刊行数はかなり少ない。しかし、表で示したデータの2年前、2006年の韓国での推理小説刊行数はオリジナル・翻訳合わせて2008年のおよそ半分の147冊であり、ここ2年間で飛躍的に出版数が増加している。 2006年の出版点数と2008年の出版点数(『季刊ミステリ』2008年冬号より) 2006年 2008年 英語からの翻訳 77冊 103冊 日本語から 32冊 96冊 その他言語から 18冊 41冊 国内作家作品 20冊 27冊 特に日本の作品の刊行数は3倍にもなっており、英語作品の翻訳の数に迫る勢いである。この調子で韓国のミステリ界が活気付いていくのか、それとも一過性のブームなのか、これからの動向が気になるところである。 ☆韓国での日本のミステリの刊行 2008年、韓国で刊行された翻訳推理小説の中で最も原書の刊行年が古いものは、ウィルキー・コリンズ『白衣の女』(The Woman in White、1860年)だったそうだ。それも含め、英語からの翻訳はさまざまな年代のものが翻訳されている。 それでは、日本の推理小説の翻訳はどうだろうかと見てみると、まさかの『ドグラ・マグラ』翻訳本が出ている!(四大奇書中、ほかの3作は未刊行【2010年10月注:誤り。実際は、2005年3月にすでに韓国語版『黒死館殺人事件』が刊行されており、韓国語版『虚無への供物』もこの記事執筆の約1週間前に刊行されていた】) とはいえ、日本の作品は、直近の作品の翻訳が多いようだ。 刊行数の多い作家別ランキングは下記の通りである(『季刊ミステリ』2008年冬号より)。 1位 アガサ・クリスティ 16冊 2位 東野圭吾 9冊 3位 恩田陸 8冊 4位 宮部みゆき 6冊 5位 ディーン・クーンツ 5冊 6位 ジョアン・フルーク 4冊 7位 海堂尊、有栖川有栖、柳原慧、乙一、神永学ビル・バリンジャー、Maxime Chattam(フランス、邦訳なし?) 3冊 あれ、綾辻行人や島田荘司は? 台湾では綾辻行人や島田荘司の影響で本格推理小説に惹かれていった作家たちが活躍しています。韓国でも本格が流行ってほしいと勝手に願っている私としては、このあたりの作品はぜひ刊行されていてほしいのですが…。(興奮して急にですます調に変わってしまった…) 調べてみると、実は綾辻行人作品は、すでに10年以上前に鶴山文化社から館シリーズ「黒猫館」までの6冊の翻訳版が刊行されており、2005年以降には別の出版社から「十角館」新装版、「時計館」新装版、「暗黒館」(3分冊)が刊行されています。2008年にも『霧越邸殺人事件』が翻訳されており、綾辻行人作品が韓国で全然読まれていないという訳ではないのでした。 島田荘司作品は、『占星術殺人事件』がまず『アゾート』という題名で刊行され(1992年)、その新装版が1996年に同出版社から刊行、そして2006年に別の出版社から再刊されています。ほかには『魔神の遊戯』(2007年)、『龍臥亭事件』(2分冊、2008年)、『斜め屋敷の犯罪』(2009年)が刊行されています。 さて、韓国で2008年に刊行された日本の推理小説に話を戻すと、韓国では日本でも人気のある中堅作家「東野圭吾、宮部みゆき、恩田陸」や、本格の「有栖川有栖」、ライトノベルから推理小説まで幅広く書く「乙一」、新進作家の「海堂尊、柳原慧、神永学」が多く訳されているとのこと。「心霊探偵八雲」シリーズの神永学なんかは、日本ではあまり推理作家と見なされていない作家だと思いますが。あと、柳原慧って、宝島社の「このミステリーがすごい!」大賞の人だっけ? ←その通りでした。 調べてみると、有栖川有栖は現在までに5冊(『月光ゲーム』、『孤島パズル』、『白い兎が逃げる』、『絶叫城殺人事件』、『46番目の密室』)が刊行されているそうだ。 欧米の作家はあまり詳しくないのだが、マクシム・シャタンは邦訳はなさそう。フランス語版wikipediaでの記事はこちら。http //fr.wikipedia.org/wiki/Maxime_Chattam 東野圭吾は、1999年に『秘密』が翻訳されたのが最初で、以来2008年末までに28冊が刊行されている(うち、18冊が2007年以降の2年間で刊行されたもの)。恩田陸は、2005年に『夜のピクニック』の翻訳が出たのが最初だが、以来翻訳が一気に進み、24作品が刊行されている。宮部みゆきは、2000年の『火車』が最初で、以降計22作品が刊行されている(『季刊ミステリ』2008年冬号より)。 どこの国でも、東野圭吾・宮部みゆきはかなり売れてますね。これからの本格勢の活躍に期待します。 韓国ミステリ紹介 目次へ